たかがミラー、されどミラー
こんにちはchessinuです。
ダックス125が納車されたら、まず真っ先にやっておきたいことの一つに「ミラーの交換&調整」が挙げられます。
やはり走行時の安全面において、ミラーの視認性の良さというのは非常に大事な要素ですからね。
それで一般的にミラーの視認性を向上させるには以下の2つの方法があります。
- 社外製ミラーに交換する
- 純正ミラーを調整する
ただしどちらの作業に関しても自分で簡単に行うことができ、いちいちバイク屋に頼むのは「時間」も「お金」も勿体ない…!
ということで今回の記事ではこれらのやり方について詳しく紹介していきますので、ダックス125のミラーの交換や調整を必ず自分でできるようにしておいてください。
新しいミラーを選ぶ際の注意点
それではまず始めに社外製の新しいミラーに交換する方法を紹介していきますが、その前にいくつか知っておくべき事があるので、そちらを先に確認しておきます。
※以下のことについて知っているという方は読み飛ばしてください。
- 正ネジと逆ネジ
- 新保安基準
正ネジと逆ネジ
まず1つ目に紹介するのが「正ネジ」と「逆ネジ」についてです。
一般的にそこら辺にあるネジをドライバーなどを使用して取り外す時、ほとんどの場合は「反時計回り」に動かして緩め、逆に締める時には「時計回り」に動かしますよね。
ただし「ほとんど」と言うことで、実は全てのネジがその通りに働くわけではなく、全く反対の動作を必要とする「逆ネジ」という物(規格)があります。
つまりこの逆ネジは先ほどの正ネジとは異なり、締める時には「反時計回り」に動かし、緩める時には「時計回り」に動かす必要があります。
なので構造上の違いにより逆ネジと正ネジを直接そのまま取り付けることはできませんが、その2つの間に「変換アダプター」を挟むことで取り付けが可能になります。
- 正ネジと逆ネジを「直接取り付けることはできない」ので、変換アダプターを間に挟む必要がある。
- バイク用ミラーはほとんどが「8mm」と「10mm」のネジであり、その大きさを変換するアダプターもあるので、ほぼ全てのバイク用ミラーは変換アダプターを介することで取り付けが可能。
ダックス125の場合
それでは我らダックス125の両サイドのミラーのネジはどうなっているのかと言うと、先ほど紹介した「逆ネジ(10mm)」になっているので、ここに「正ネジ(10mm)のミラー」を直接取り付けることはできません。
ただしダックス125の場合は車体側の「ミラーホルダー部分(正ネジ10mm)」に純正変換アダプター(衝撃緩衝装置)が装着してあるので、それを外せばそのまま「正ネジ(10mm)のミラー」を取り付けることができます。
ただ取り付けること自体は特に問題ないのですが、純正変換アダプターを外した分だけミラーの「位置」が低くなってしまうので、高さを調節したい場合には別売りの「スペーサー」などを利用する必要があります。
逆ネジと変換アダプターの役割
逆ネジと変換アダプターには以下のような「衝撃緩衝装置」としての役割があります。
- 走行中に接触した時の緩衝目的
- 走行中に転倒した時の緩衝目的
走行中に接触した時の緩衝目的
例えば「左側」に正ネジのミラーを取り付けた場合は、走行中に前方から来た人や物にぶつかった時にミラーは「緩む方向」に動くので、ダメージを最小限に抑えることができます。
ただし「右側」に正ネジのミラーを取り付けた場合は、走行中に前方から来た人や物にぶつかった時にミラーは「締まる方向」に動くので、お互いに怪我をする恐れがあります。
ではどうするのかと言うと、右に「逆ネジのミラー」を取り付けることでそれを解決することができます。
そしてこの対応に関しては「各バイクメーカー」によって異なっており、例えばヤマハのバイクは右側にそのまま逆ネジのミラーを取り付けているのですが、ホンダやスズキのバイクは右側と左側のミラーホルダーに「変換アダプター」を介して逆ネジのミラーを取り付けています。
まぁ個人的には変換アダプターを介した方が、衝突時に「前後関係」なくダメージを抑えることができるので良いと思います。(変換アダプターまたはミラーのどちらかが動くため)
ちなみにタナックスの特殊なミラーには「ターナー」と呼ばれる衝撃緩衝機構があるので、ミラーホルダーに変換アダプターを介さずとも前後からのダメージを受け流すことができて便利です。
なお次に紹介する「保安基準」には、歩行者などに接触した際の「衝撃を緩衝できる構造」が必要との記載があるので、この逆ネジと変換アダプターの役割はとても大事だったりします。
走行中に転倒した時の緩衝目的
こちらも先ほど同じ様な感じなんですが、走行中に転倒した時にバイクのミラー又はアダプターが「緩まる方向」に動くので、ミラーや乗っている人に対する衝撃を和らげることができます。
保安基準
まぁこう言ったら怒られてしまうかもしれませんが、本当にここら辺が面倒くさいというか細かい所で、バイクに取り付けることのできるミラーには「制限」があります。
要は国土交通省が定める「道路運送車両法の保安基準」に適合したミラーでないと、バイクに取り付けて使用することができないということです。
それでこの保安基準はそのバイクが「製造された年代」によっても異なっており、「2007年(平成19年)1月1日以降」に製造されたバイクには「新保安基準」が適用され、2007年以前製造のバイクに適用されていた保安基準よりも制限が厳しくなりました。
そしてダックス125に関しては2022年製のモデルなので、当然のことながら「新保安基準」に適合したミラーを選ぶ必要があります。
新保安基準について
それでこの「新保安基準」についてなんですが、説明するのが「すこぶる面倒くさい感じの仕様」になっています。
ただし【TANAX(タナックス)のHP】や【motor-fanのHP】に載せている説明が分かりやすくまとめられているので、ぜひこちらを参考までにご覧になってみてください。
補足事項
まぁしかしぶっちゃけた話をすると、この「新保安基準」に適合していないミラーを取り付けた所で、街中で即警察に捕まり点数をひかれるなんて事は滅多に無かったりします。(事故を起こしてとかは除く)
ハッキリ言ってこの基準自体がかなり「形骸化」している感じがあり、多くの人が車検の時だけ元に戻してやり過ごすみたいな事をしていたりします。
(まぁダックス125には車検はありませんが)
…とか言いましたが、ちゃんと決まりは守らなければ絶対に駄目ですよ!(笑)
バイク用品店でミラーを探す
新しいミラーをAmazonなどの「ECサイト」を利用して探す方法もありますが、やはりネット上の画像と実物では色味やサイズ感に「ズレ」があるので、なるべく「実店舗」で現物を見ながら選んだがいいかと思います。
ということで、ダックス125に取り付けるミラーを探しに某バイク用品店へ出発します。
やはり県内最大級の規模のバイク用品店ということもあり、たくさんの種類のミラーがおいてあります。
カラーバリエーションも豊富ですね。
この記事では特に紹介しませんが、バーエンド部分に取り付ける「バーエンドミラー」なんかもあります。
そして色々見て回り個人的に気に入ったのが、こちらの鏡面部分が青くなっている「ブルーミラー」です。夜間走行時の後続車のライトの眩しさ対策(防眩効果)に期待ができ、そしてデザインもめちゃくちゃお洒落!
しかし残念ながら「2007年保安基準非適合シール」が貼ってあるため、こちらのミラーをダックス125に取り付けることはできません…。
とりあえず下の画像のような「適合シール」が貼ってあるミラーであれば取り付けOKなので、探す時の目印として便利ですね。
まぁもし気に入ったミラーが新保安基準に適合しているのか分からない場合は、近くにいる店舗スタッフさんに聞けばすぐに教えてくれると思うので、悩んでいないですぐに聞いた方が良いです。
んで結局どれにしたのかと言うと、こちらのタナックスの「ナポレオンミラー」にしました。理由はメッキ加工でしかも鏡面部分が広く、また「新保安基準」にも適合しているからです。
ちなみに購入する際の注意点として、基本的にミラーは「単品売り」になっているので、左右両側を取り替える場合には、当然のことながら同じミラーを2つ購入する必要があります。
ミラーを交換する方法
道具
ダックス125にナポレオンミラーを取り付けるのに使用した道具は以下のとおりです。
- ナポレオンミラー×2
- 14mmソケットレンチ
- 14mmスパナ
- 17mmスパナ
作業手順
交換作業において難しいことは何もないのですが、純正ミラーや純正ミラーナットの「回す方向(時計回り)」にだけは注意してください。
- ゴムカバーをめくる
- 純正ミラーナットを回す
- 純正ミラーを外す
- 純正変換アダプターを外す
- ナポレオンミラーを取り付ける
補足事項
ダックス125には「センタースタンド」が付いていません。そのため車体を真っ直ぐにすることができず、作業が若干やりづらく感じると思います。
なのでダックス125に限らずセンタースタンドが付いていないバイクは、基本的に「メンテナンススタンド」を使用して作業をするのですが、ミラーの交換程度あれば特にそこまで問題はないので大丈夫です。
(まぁ有るに越したことはありませんが…)
ただし自分でチェーンの調整&注油やオイル交換などをしようと思っている方は、メンテナンススタンドを購入しておいた方が絶対にいいと思います。(そこまで価格が高くもないので)
実際の交換作業
1.ゴムカバーをめくる
まず作業を始める前に、ミラーや工具を落として車体を傷をつけないようにタオルなどで保護しておきます。
次にミラーの根本にある黒いゴムカバーを上の方へめくります。
こんな感じで。
2.純正ミラーナットを回す
赤矢印の純正ミラーナットを14mmのスパナで回します。
純正ミラーは逆ネジなので、スパナを「時計回り」に動かして緩めます。
3.純正ミラーを外す
ナットが緩んだら、あとは純正ミラーを「時計回り」にクルクルと動かして外します。
なおその際に勢い余ってミラーを落とさないように気をつけてください。
ちなみに純正ミラーとナポレオンミラーを並べてみるとこんな感じです。やはりナポレオンミラーの方が横に広い分、純正ミラーよりも視認性は良くなりそう?
4.純正変換アダプターを外す
純正ミラーを外し終えたら、純正変換アダプターを14mmソケットレンチで取り外します。
純正変換アダプターの車体側は正ネジなので、ソケットレンチを「反時計回り」に動かして取り外します。
取り外した純正変換アダプター。こちらはいつかまた純正ミラーに戻す時に使用するので、無くさないように保管しておいてください。
5.ナポレオンミラーを取り付ける
純正変換アダプターを取り外したら、そこにナポレオンミラー(正ネジ)を「時計回り」に動かして取り付けます。
そしてミラーの角度を決めたら、最後に17mmのスパナでナットを固定して交換作業は完了です。あとは反対側のミラーも同様の作業をしておきます。
左側が純正ミラーで右側がナポレオンミラー。どちらがいいと思いますか?笑
補足事項
このナポレオンミラーは「ターナー機構(衝撃緩衝機構)」になっているので、純正変換アダプターを外してミラーを装着しても「新保安基準」をクリアすることができます。
ただし純正変換アダプターを抜いた分、ミラーの位置が低く感じる場合には「スペーサー」などで調整する必要があります。
純正ミラーを調整する方法
わざわざ社外製ミラーに交換しなくても、純正ミラーのままで見やすくする方法もあります。
具体的には人それぞれの座高に合わせて純正ミラーの「高さ」を調整したり、体格(肩幅)に合わせて純正ミラーの「位置」を調整したりします。
- ミラーの高さを調整する
- ミラーの位置を調整する
ミラーの高さを調整する
ナットの固定位置を調整する
使用する道具は14mmスパナだけです。
まずは純正ミラーナットを「時計回り」に動かして緩めます。
次にミラーも時計回りに動かして緩めていきます。
そしてミラーを見やすい高さに合わせたら、ミラーナットをその位置で固定するだけです。
初期の状態に比べて最大で「約1.5cm」ほどミラーを高くすることができました。(13cm→14.5cm)
スペーサーを利用する
ミラーの高さを調整するためのスペーサーを利用する方法もあります。
ミラーとアダプターの間に挟んで使用したりします。
まとめ
先にミラーナットの位置を調整し、それでも高さが足りないようであれば、高さ調整用スペーサーの利用を考えてみるのがいいと思います。
ミラーの位置を調整する
オフセットホルダーを利用する
純正ミラーの位置を調整することで(オフセット)、標準状態時または高さを調整時よりも格段に見やすくなります。
特に自分のような肩幅が広いタイプは、モコモコした「冬服」を着るとミラーに映り込んで後方が見えにくくなるので、ミラーの位置を調整することによる効果はかなり高いです。
それでどのように位置を調整するのかというと、ミラー用の「オフセットホルダー」を利用して行います。
純正変換アダプターを外し、オフセットホルダーを取り付けます。
こんな感じで。
あとは純正ミラーを取り付けるだけです。
画像ではわかりにくいのですが、オフセットホルダーを取り付けたことで後方がかなり見えやすくなりました。
補足事項
今回はタナックスのオフセットホルダー(45mm)を使用しましたが、他にも35mmタイプや色がブラックの製品もあります。
またタナックス以外のメーカーからもオフセットホルダーは発売されているので、必要な方は各自で色々調べてみてください。
まとめ
純正ミラーの視認性が悪いと感じたらまず「高さ」を調整し、それでも駄目な場合は「オフセットホルダー」を使用するのがいいと思います。
まぁオフセットホルダーを使用すれば、ほぼ間違いなくどんな体格の方でも見えやすくはなるはずです。
またミラーを社外製に交換する場合には、そのミラーの「ネジ向き(正ネジ・逆ネジ)」や「新保安基準」に適合しているかどうかについて、購入する前にきちんと確認しておく必要があります。
それとネットでミラーを購入するにしても、できるだけバイク用品店で実物を見てからにした方がいいと思います。(多少高くてもなるべくバイク用品店で買ってあげてください笑)
以上。
ということで、「ダックス125(ST125)のミラーの交換方法と調整方法」について紹介した記事は終わりとなります。
さようなら~